想定を超える極大地震動作用時の橋の大規模崩壊現象の解明と


その制御法の提案


-Cooperative research program between Nagoya Institute of Technology and Tongji University-

----本研究プロジェクトは主に以下の助成を受けている-----
・科学研究費 基盤研究(A)(課題番号:16H02359,2016~2019,研究代表者:後藤芳顯)
  「想定を超える極大地震動作用時の橋の大規模崩壊現象の解明とその制御法の提案」

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Since 05/04, 2017.

【目的】
東日本大震災以来,社会基盤施設の「想定外」の被害発生は社会的に許容されにくい状況にある.現在の橋の耐震設計では想定された設計地震動に対して安全を確保する防災的手法が用いられている.しかしながら,想定を超える地震動が作用する場合の対応については規定がなく,最悪の場合,崩壊に至る危険性も否定できない.本研究では,想定を越える地震動で橋の応答が耐震設計での終局限界を超えた場合にも,崩壊挙動を制御し,減災の観点から致命的な崩壊を防ぐために,既存の耐震設計法とは独立の崩壊制御設計法を提示することを目的とする.具体的には,橋の崩壊現象を大型模型の多方向加振実験で解明し,崩壊に至る挙動を一貫して予測する高度FEにデルの開発を行う.さらに,このFEモデルによる検討から合理的な崩壊の制御法を提示する

【2016年度の成果概要】
1.終局限界を超える地震に対する橋の崩壊挙動解析と制御の方針の検討:連続高架橋を支持する鋼製橋脚および上路式トラス橋を対 象に終局限界後に機能する崩壊防止ケーブルを用いた崩壊制御方法の特性について数値解析による検討を行った.トラス橋については 崩壊実験を行い特性と妥当性を検証した.
2.橋の構成要素の載荷実験による破壊挙動同定:トラス格点の破壊実験を行い,破壊挙動を同定した.天然ゴム支承を対象にせん断 による破断試験を実施しその挙動を同定した.負反力と橋脚天端の回転等による曲げの影響を考慮した実験も実施し,これらが支承の せん断破壊に与える影響を検討した.
3.橋の構成要素の崩壊モデルの開発:鋼製橋脚,CFT橋脚では崩壊時に極端な大ひずみが生じるために,鋼材の引張り特性は通常の 引張試験で直接同定ができない.そのため,引張試験片の変形の局所化を考慮できるFEモデルを構築して逆解析により同定する方法を 開発した.また,ゴム支承の構成則には超弾性,塑性を導入してモデル化し,支承単体の載荷実験での挙動に基づき,キャリブレーシ ョンを行い破断近傍までのモデルを同定した.
4.橋全体系の崩壊までの挙動を一貫して扱うペタスケールの高度FEモデルの構築:橋脚,格点,支承に関する崩壊モデルを作成し橋 脚モデルに組み込んだ.
5.連続高架橋模型の設計・製作と崩壊実験計画:振動台実験による崩壊実験を行う2径間連続高架橋模型(縮尺比1/6.7)の設計・製作 を行った.高架橋模型は(1)すべてがT型橋脚の場合,(2)中央橋脚が逆L橋脚の場合の2種類とした.(2)逆L橋脚を持つ高架橋では,「 橋脚の耐力到達先行型」と「支承の破断先行型」の2 通りの崩壊状態を想定して支承形状を調整した2タイプの模型を用意した.なお ,当初の計画では曲線高架橋模型を製作する予定であったがコストの観点から逆L橋脚を持つ高架橋に変更した.

【参考文献】

1) Yoshiaki Goto, M.ASCE; Takemasa Ebisawa; Makoto Obata; Jianzhong Li; and Yan Xu (2017), "Ultimate Behavior of Steel and CFT Piers in Two-Span Continuous Elevated-Girder Bridge Models Tested by Shake-Table Excitations", J. Bridge Eng., Vol.22, Issue 5.


2) 水野剛規,後藤芳顯,山田忠信 (2016),"鋼トラス橋のケーブルを用いた崩壊防止構造に関する基礎的検討",土木学会第71回年次学術講演会講演概要集,I-009.


3) BACH NGUYEN VAN,後藤芳顯,海老澤健正 (2016),"鋼製橋脚の倒壊判定と耐倒壊性能に関する検討" ",土木学会第71回年次学術講演会講演概要集,I-251.


4) Takemasa Ebisawa, Goto Yoshiaki, Jiangzhong Li and Yan Xu (2016), "FE Analysis of Collapsing Behavioir of Thin-walled Steel Piers in a 2-span Elevated-girder Bridge Model Subject to Shake Table Accelerations", The Seventh Kwang-Hua Forum on Innovations and Implementations in Earthquake Engineering Research

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2017/05/04

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