実験内容

振動台実験

 振動台実験模型は実大高架橋の0.15(1/6.7)倍を想定し,振動台の配置を考慮し6m×2スパンとした.高架橋は現行の照査法に従い,橋脚が終局状態に到達するように設計した.入力地震動はレベル2地震動の水平2方向成分同時入力を行う.このとき,橋脚の発生応力が実大構造と等しくなり,その終局挙動が再現されるように時間軸を√1/sにする.損傷しないように設計した高架橋の桁構造と橋脚横ばりは同一のものを用いるが,実験用の橋脚柱は4種類準備した(表1-1).すなわち,円形ならびに正方形断面の鋼製橋脚(無充填),無充填と同じ鋼管断面にコンクリートを充填したCFT橋脚である.さらに,予備加振用に高強度橋脚を準備した.実験ではゴム支承を介した桁と各橋脚間の連成挙動による橋脚の進行性破壊現象を再現するために,中央橋脚と端橋脚の挙動に差異が生ずるように中央橋脚の軸力比がより大きくなるよう錘を調整した.なお,3本の橋脚は同一断面である.ゴム支承は各高架橋供試体で6基用いるが,その挙動が必ずしも明らかでなく,橋脚の終局状態までの加振で損傷や材料特性が変化する可能性もあるので,予備加振用も含め5セット準備した.主な計測項目は,橋脚と桁の変位,加速度,ひずみと支承の反力と変形である.変位計測の大部分は糸巻き変位計による.支承反力(力3成分,モーメント3成分)は6分力計により計測する.

1-1a

1-1b

図1-1 実験供試体


表1-1 加振実験用の高架橋供試体および入力地震動

高架橋模型の橋脚 入力地震動
無充填円形断面橋脚 レベル2地震動の水平2方向成分の同時入力
無充填矩形断面橋脚 レベル2地震動の水平2方向成分の同時入力
コンクリート充填円形断面橋脚 レベル2地震動の水平2方向成分の同時入力
コンクリート充填円形断面橋脚 レベル2地震動の水平2方向成分の同時入力
積層ゴム支承の要素実験

 東日本大震災でのゴム支承の破断事例を考慮して,支承の2方向繰り返し荷重下での終局挙動を明らかにするための2方向載荷実験装置を開発した.この装置は名工大で保有している3次元載荷システムに2方向平行維持装置(角度変化も可能)を付加することで任意の水平2方向繰り返し載荷実験や擬似動的実験が可能となる(写真1-1,図1-2).この装置により加振実験で用いるゴム支承の水平2方向の力学特性を明らかにして,高精度のモデル構築や加振実験結果の考察に反映する.


写真1-1 2方向載荷装置*)


図1-2 2方向載荷装置*)

*)後藤芳顯,小畑誠,海老澤健正,3次元構造物載荷における平行維持装置,特願2012-063746
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